ジャズに関心があり、よく聴いている。
聴くだけでなくプレイヤーにという気持ちがあり、社会人ジャズサークルやバンドメンバー募集を見て何度か足を運んだ。
ある日、音楽掲示板で歌手絶賛募集というのでデモをつけて返信すると、伴奏一回5000円と返ってきてたまげた。時間の限られている大人なのだから純粋な音楽仲間なんか募集する気は無いのだろう。断ると、「あなたの歌は下手なのでボイトレしたらどうか。声は良いと思うよ。」と謎の目線からアドバイスを賜る。
それから、コロナや様々なコミュニケーション上のカルチャーショックが重なり、リアルタイムで他者と音楽をやることから離れてしまっていた。
6月某日、ネットで見たジャズの黒本なるものが気になって池袋の大型書店へ行った。
高校卒業以来特別な読書家では無いけれど、大型書店をぐるぐる歩くのには本当に飽きない愉しみがある。テーマパークのようだ。
もちろん目当ての黒本はあったし、大好きなバンドのスコアもあって興奮しながら見てみたら、これは到底難しくて弾けなさそうだ。
会計をするため店内の下りエスカレーターに向かっていると、一組のカップルが前に乗った。
女の人は料理のレシピ本、男の人はプログラミングのようなIT系の本を、大事そうに胸に抱き抱えている。お互いその姿勢のまま言葉も交わさず互いを見つめるでもなく、片方が振り返り、向き合いながら乗っていたのが印象的だった。
さて、結局肝心の黒本は使いこなせず、不満げに部屋で埃をかぶっている。
時間ができれば、ジャズをもっと勉強したい。